監督:ジョージ・キューカー 原作:バーナード・ショー 主演:オードリー・ヘップバーン アメリカのミュージカル映画
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【あらすじ】
言語学者のヒギンズ教授とピカリング大佐は、ひょんなことから、労働者階級の花売り娘、イライザ(オードリー・ヘップバーン)の粗野な言葉遣いを正して、舞踏会に出すことができるかどうかを賭けることになる。
【感想】
階級社会って日本人には馴染みが薄い
日本でも、政治家の子供は政治家になり、医者の子供は医者になる傾向があるように、実質階級に近いものは存在する。ただ、本人の努力と才覚次第で、貧困層でも高学歴になれるし、好きな職業にも就くことができる。英国はそうではなく、人々の階級が明確に決まっており、英語の発音だけで属する階級も分かってしまうことがよく分かる映画。インドでもカースト制度が未だに根強いように、世界に目を向けると階級社会というのは当たり前にあるものなのだろう。
中盤では、ひょんなことからイライザの父親が労働者階級から中産階級(ミドルクラス)になる。彼は元々労働者階級で、娘のイライザに金を無心するどうしようも無い父親で、貧しいながらも酒を飲んで気楽に暮らしていた。しかし、中産階級になった後は、逆に周囲の人間に施しを行う側になったり、世間の風潮から結婚しなければいけないなど、息が詰まる思いをするようになる。彼は中産階級の窮屈さを感じながらも、その豊かさを味わうともう手放すことはできなくなっていた。一見すると誰もが羨む生活をしながらも、実はそれに伴って苦しい部分もある。まさに、「隣の芝生は青く見える」という言葉の好例だと感じた。